「見放す選択が申し訳なくて」と泣くあなたへ、
私が伝えたい"それは悪ではない"

もし今、自分を責めているなら。
先に、これだけ伝えさせてください。
あなたは、決して弱くないんですよ。

頑張っている、あなたへ。

もしかしたら、
こんなことを考えたこと、ありませんか。

「育ててくれた親なのに、
見放す選択をしなきゃいけないのは申し訳なくて」

もし、そう思って自分を責めているなら。

順番が逆になるけれど、
先にこれだけ、伝えさせてください。

── それは、決して悪ではないんですよ。

負い目を感じることでも、ないんです。

私が介護について思う事。
ゆっくり、お話しさせてください。

あなただけじゃ、ないんです

私は、長年介護の仕事に就いています。

親だけじゃない介護も、たくさんあります。
親の割合は多いけれど。

介護の負担感って、本当に人の数だけ様々で。
大きな悩みの人も、大きくない悩みの人も、たくさんいます。

でもね。

さっきの言葉だけは、
何度も、何度も、聞いてきました。

そして、その言葉を口にする人は、
日々悩み、時には涙があふれてしまうことも
あると思います。

だから、あなただけじゃない。
それはまず、知っておいてほしいのです。

優しかった人が、変わっていく

認知症を患うと、沢山の症状が現れます。

そばで介護をしている人に対して、
中には強い口調で話すようになる場合もあります。

やがて、お願いも聞こえなくなる。
ひどい言葉や理解が難しい言葉、
言葉だけじゃなく感情までぶつけられることも。

はじめは「仕方ない」と、理解しようとするんですよね。

病気を患ってしまったのだから。
そういうものだって、分かってる。

……でも、寂しいんです。

大好きだったあの人が、
少しずつ遠くなっていくことが。

「でも、仕方ないですよね」
そう言って、最後は明るく笑ってくれる人ほど、

どこか、寂しそうなのです。

そして時には、怒りも感じてしまう。
それも、当たり前のことなんです。

あなた自身が、倒れることもある

介護をしている人が、体を壊すことも、珍しくありません。

そして一度、自分の体の弱さを知ってしまうと。

それまで感じたことのない不安が、
こころに居座るようになります。

「今できていることが、この先もできるんだろうか」

その日が来てから考えることだと、分かっている。
分かっているけれど、不安が広がってゆく。

「いつか」を、毎日考えるようになる

そうして、いつか訪れる決断のことを、
考え始める方がいます。

「まだ大丈夫だけど、いつかは考えなきゃいけないと思っていて。
それなら、少しでも自分で選べる状態の時がいいのか、
何もわからなくなってからのほうがいいのか。
最近は毎日のように考えます」

ため息と一緒に、
別々に生活をすることについて話してくださいます。

そんな話は、数か月続くこともあります。
一時間近く、お話を聞くこともあります。

そんな時は、こころの葛藤が、痛いほど伝わってきます。

そして、ある日ふと、聞かれるんです。

「どう思いますか?」

ご自身の中で考えがまとまってきて、
やっと誰かの意見を聞ける状態になった。
そういう瞬間だと、私は思っています。

お母さんを介護している娘さんへ、伝えたこと

そんなとき私は、仕事としての側面ともう一つ、
長く介護の世界を見てきた一人の人間として、お話しします。

お母さんの病気は、治ることはないです。
これは、現実で。

きっと、昔のお母さんは優しいお母さんで、
大好きだったと思います。
頑張るあなたの姿を見れば、わかります。

残酷だけど、治らない。
だけど、最後まで一緒に過ごしたい。
でも、自分の体への負担も大きく感じている。

答えを出すことは、とても難しいですよね。

ただ、一つだけ、言えることがあります。

お母さんを施設へお願いすることは、
お母さんを守ることでもあるんです。

悲鳴を上げてしまう前に

介護は、本当に大変です。
自分の人生を削って、支えるんです。

だから私は、
介護する人が悲鳴を上げてしまう前に、
判断してほしいと思っています。

その状態で、お母さんの安全は守れるでしょうか。
あなたの体は。
あなたの家族は。
あなたの人生は。

限界まで行ってしまったら、
きっと後悔すると思うんです。

自分のせいだと。
もっと早く、なんとかできたはずだと。

そうなってからでは、遅いんです。

私たちは、一つのチームです

そうなる前に、しっかり支えること。
お母さんと、あなたと、ご家族の生活を支えること。

それが、私たちの存在する理由なんです。

施設で働く職員も、当然、同じ気持ちで働いているんですよ。

ご本人と、ご家族の生活を支えること。
誰もが同じ目的をもって、お母さんの介護をしているんです。

私たちは、一つのチームなんですよ。

だから、施設にお願いすることは、
チームの手を借りることであって。
つないだお母さんの手を離すことじゃ、ないんです。

チームの一員として、介護を知る一人の人間として、
お母さん、そしてご家族の皆様が
安心して人生を生きていけることを、
同じ目線をもって一緒に考えていきたいと思っています。

── 全員で一つのチームになって、一歩ずつ歩んでいきましょう。

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