「全部反対される」と泣いた花嫁へ、
私が両家の母に伝えた"見栄を張る場所じゃない"
仲良しだった両家のお母さんと、
少しずつ、表情の曇っていく二人。
昼休みに、私は呼び出されました。
ブライダルコンサルタントをしていた頃の、お話。
たくさんの結婚式に、たくさんのご家族に、
立ち会わせていただきました。
今日は、その中から、ひとつ。
ほんわかした、二人でした
新郎新婦にとって、結婚式は、
人生ですごく大きなイベントです。
あるカップルの担当になりました。
幸せそうな、二人。
見ている私も、嬉しくなる。
初めて会った時のこと、今でも覚えています。
ほんわかした二人で、
仲良く、ひとつずつ相談しながら決めていきました。
打ち合わせは、順調。
お母さんたちが、同席して
中盤にさしかかり、
披露宴の引き出物とか、お料理とか。
どちらかというと、来賓のおもてなしの部分になって、
両家のお母さまが、打ち合わせに同席されました。
お母さん同士も馬が合ったらしく、とても仲が良い。
そのことが、本人たちも嬉しい様子でした。
良かった。
──と、その時は思ったんです。
少しずつ、曇っていく表情
打ち合わせが進むにつれ、
少しずつ、主役である二人の表情が、曇り始めました。
打ち合わせは、結構長い時間、話し合います。
それはそう。一生に一度の結婚式、話すことはたくさんある。
もちろん、もれなく希望をしっかり打ち合わせしていきます。
あれもしたい、これもしたい。
笑顔が絶えない打ち合わせになるのが、当然なのに。。
午前の打ち合わせを終え、
昼食をはさんで、もう少し話し合う時間が必要でした。
私も、腹ごしらえは必要です。
昼食の時間に、呼び出しが
そして、昼食をとっていた時間。
新郎新婦が、食事も早々に、私を呼び出してきました。
──なんとなく、そんな気は、していました。
二人は、悲しそうに話してくれました。
自分たちが一生懸命考えたことが、
全部、母親たちに反対される、と。
「お客様に恥ずかしいわ」
「そんなの子供っぽい」
「私たちの時はもっとしっかりお客様のことを考えたけど、自分たちのことばかりね」
そんな言葉を、突きつけられていました。
やっぱり。
そうして、新婦は泣き出しました。
大丈夫、泣かないで。
最高の結婚式にしたい思いは、みんな一緒だから。
お母さんたちの、元へ
そして、お母さんたちの元へ向かいました。
お母さんたちは、ニコニコ楽しそうに話をしていました。
すみません、お休み中に。
そして、二人の話を伝えました。
お母さんたちは、当たり前でしょう、と。
家同士のことなのに、自分たちだけのことだけじゃダメよ、と。
私が、伝えたこと
そうでしょうか。
こうしてお母さんが仲良くいられる関係を作ったのも、二人です。
まだまだ足りない部分はあるけれど、
二人で頑張っていきたいと、夫婦となったこと。
その思い、意思を、大切な人へ報告する場であり、
背中を押してくれる、頑張っていけと応援してくれる人が集う場所。
見栄を張る場所じゃ、ないんです。
幸せであるはずの二人が悲しい顔で、悲しい気持ちで、
話すことでもない。
そして、そんな選択をした二人の意見を尊重するなら、
しっかり最後まで、その責任も持つことの大切さを、
どうか二人に伝えてほしいのです。
耳を、傾けてくれた
お母さんたちは、最初は良くない感情だったと思います。
でも、話を続けることで、耳を傾けてくれました。
そして、後半の打ち合わせ。
お母さん達が、二人に寄り添ってくれた。
「ごめんなさい。二人の気持ち、考えなかったわね。
ついつい説教じみたことばかりで。
二人が悲しい思いをしていたのが、分からなかった」
二人は、ほほに涙がこぼれ、笑顔になりました。
そして、結婚式当日
自分たちで考え、準備した結婚式だったこと。
至らない点も多かったであろうこと。
親への感謝、集ってくださった方への感謝。
二人は自分たちらしい言葉で、
最後まで責任ある言葉を綴りました。
そして、そんな思いが会場中にしっかり伝わる、
最高の結婚式になりました。
終わった後。
今度は、無事に主役の務めを果たした二人とお母さんがそろって、
涙と笑顔と笑い声を届けに来てくれました。
「ありがとう、最高でした」と。
── その「ありがとう」は、私の宝物になりました。