「もう、無理だもん」と諦めた古い友へ、
私が伝えた"あの日の私が、できなかったこと"
独身時代からの古い友。
大恋愛の末に若くして結婚した彼女が、
長い時間をかけて、家族との別れを選ぼうとした夜──
私が伝えたのは、あの日の私が、できなかったことでした。
古い友のはなし。
独身時代から、ずっと仲の良かった、大切な友人です。
大恋愛の末、若くして結婚した彼女
大恋愛の末、彼女は若くして結婚しました。
当時の私は、
「羨ましい〜!私も続きたい」と、心の底から思っていました。
とっても可愛い子どもが生まれて、
私も、もっと嬉しくなった。
でも──そのころから、彼女の暮らしは少しずつ変わっていきました。
少しずつ、心がすり減っていって
旦那さまの実家で、同居が始まりました。
小姑のいる環境で、旦那さまは夜勤のあるお仕事。
友人は、少しずつ、こころがすり減っていきました。
色々なことが悩みとなって、
時々話を聞く私も、
「大丈夫かな…?」と感じるようになっていました。
そして──。
あるお祝いの席で
彼女は若くして結婚したから、
友達は順番のように結婚していきました。
そのたび彼女は招待され、出席していました。
もちろん、私と一緒の席もありました。
そんな中──。
ある時、彼女は友人のお祝いの席で、
彼女の話に、優しく耳を傾けてくれる人と出会いました。
たくさん抱えてしまっていた彼女のこころが、
その人に傾倒していくのに、
時間はかかりませんでした。
後日、別の友人から
後日、私は別の友人から、その事実を聞くことになりました。
一体、なぜ?
子どもだって3人生まれて、
当時の私には、憧れてしまうような存在だったのに。
何が、彼女をそんな行動に走らせたのか。
彼女から、連絡が
そんな時、彼女本人から連絡がきました。
あの時のことは事実であり、
それは旦那さまの知るところとなった。
今は、実家にいる──と。
旦那さまの、思いがけない行動
驚きました。
そして、もっと驚いたことに──
旦那さまは、
嫁がそんな行動をしたのは自分の責任でもある、と。
彼女の実家へ行き、ご家族に謝罪したというのです。
家事も育児も、
たぶん彼女が一手に引き受けて、頑張っていたのだろう。
旦那さまは、そう振り返ったのだと思います。
彼女は、その旦那さまの行動を受けて、
家族のもとへ帰りました。
──はずなのに
時が過ぎると、忘れてしまうのは、人の良い部分でもあり、悪い部分でもあります。
彼女は、悲しいことに、同じことを繰り返してしまいました。
なぜ──。
私の彼女に対する信頼も、揺さぶられる瞬間でした。
人を責めたり、けなしたりすることのない彼女は、
反対に、自分のつらさも上手に話せる人ではありませんでした。
孤独を感じた彼女のこころのスキマに、
温かい優しさが、流れてしまったんだと、思います。
結果、家族は、離れ離れになりました。
全てを打ち明けるつもりだったのでしょう。
彼女から、連絡がありました。
「本当に、それでいいの?」
全てを聞いた私は、
彼女へ、そう聞きました。
本当に、それでいいの?
あんなに大切にしていた家族。
旦那さまのご両親にも、一所懸命だった彼女。
本当は、どうなの?
彼女の、本当の気持ちが、知りたかったんです。
彼女は、こう言いました。
「旦那は、絶対自分を受け入れない。
子どもの中にも、同じ気持ちの子がいる。
旦那が、そう話したから。」
私は、もう一度、たずねました。
待って。
ほんとに、いいの?
彼女は答えました。
「だって、無理だもん。
旦那は絶対受け入れないし、私も一緒にはいられない。
だから、別々に生きていく。」
私は、静かに聞きました。
なら、旦那さまが受け入れてくれるなら、
って思ってるんだよね?
友人は──
否定も、肯定もしませんでした。
旦那さまの言葉
旦那さまから、彼女に伝えられていた言葉も、聞きました。
厳しい意見でした。
二度は、ない。
たぶん──もう、戻れないな。
私は、そう思いました。
彼女の表情には、
戻れない諦めと、
少し自由になったことへの安堵が、
複雑に絡まっていました。
それでも、伝えたかったこと
それも、あなたの人生だから、否定はしない。
だけど──と、私は、ゆっくり話し始めました。
愛して一緒になった旦那さまが、
子育てには、半分も参加できない状況で、
一人で待つ時間の子育ては、
彼女にとってはとても大変で、
追われてしまって、もうときめきもない。
そんな一つ一つが、重なって、
抱えることに、疲弊してしまった。
そして、ほんのちょっとの気持ちの迷いが、
なぜか、疲れたこころを癒すと、思えてしまったのね。
でも──。
裸の気持ちで自分の思いを話さなきゃならなかったのは、
そんな他人じゃなく、愛したはずの旦那様。
一緒に、人生を歩んできた人。
お互い、すれ違いどころでは済まない感情を抱えた時も、
あると思う。
だから、一緒にいられたんだと思う。
あの日の私が、できなかったこと
諦めという形になってしまうのなら、
ダメでも、変わらないとしても、伝えてほしい。
愛した人へ、正直な思いを、伝えてほしい。
それは──
あの日の私が、できなかったこと。
ずっと、悔やんできたこと。
もしかしたら違うのかもしれないけど、
同じなのだとしたら、
そんな気持ちを、彼女に抱えてほしくなかった。
彼女の、決断
そして彼女は、
旦那さまと話をする決断をしました。
結果は──
旦那さまの気持ちが、もう戻らないところにまで、向いてしまっていた。
いや、結果は、初めから、わかっていた。
だけど、
これからの人生、
幾度となく振り返りながら、
どうしようもない思いを抱えたまま、
生きてほしくなかった。
すべてを伝えた彼女は、自分の新たな人生を、歩き始めました。
そして、彼女がくれた言葉
後日、彼女は、こう話してくれました。
「大丈夫。
寂しい気持ちはあるけど、ちゃんと話せたから。
あの人にも、これから幸せになってほしいって、思えた。」
「私も、バカだった。
もうそんな自分にならないように、少し一人で、人生考えてみる。」
「子どもには、会えることになったから、
それだけでも、話した甲斐があった。」
「良かったよ。
長い間、付き合わせてごめんね。
ありがとう、頑張るね。」
そう言った彼女は、
もう、ちゃんと前を向いていました。
これからも、見守りたい
子どもの成長を、近くで見守れないけれど、
でも、関係はちょっと回復できて、良かった。
旦那さまとも、穏やかな関係に戻ったから、
これから、お互いの人生を尊重しあって、
大切な子どもの成長を、
別々の場所から、見守ってあげてほしい。
そして──
彼女が、いつもの優しい彼女で、
優しい包み込むような笑顔で、笑っていてくれることを、
心から、願っている。
そして、あの日の私も。
あなたへの問いかけ
もし、今のあなたが、
大切な人との関係で、抱えきれなくなっているなら。
どこかへ逃げ出す前に、
そして、終わりにする前に──
裸の気持ちで、本当のことを伝えるの、
"その人"に、できていますか?
結果は、変わらないかもしれない。
でも、自分の気持ちにちゃんと素直になって、
伝えるという行為そのものが、
これからのあなたを、優しく支えてくれることがあります。
あの日、私ができなかったことを、
あなたには、してほしい。
── あなたの「これから」が、少しでも軽やかでありますように。