お日様だっていい
── 元旦の朝、母は剛球を打ち返した

初日の出に行くはずだった息子が、
元旦の朝、盛大に寝坊しまして。
そこから始まる、我が家のおはなし。

ある元旦の朝の、はなし。

私は毎年、年末年始は仕事がお休みで、
その年は息子もバイトがお休みでした。

地元の仲良しグループで初日の出を見に行くって、
張り切っていました。

年末は、スルスルスル〜っと

年末は毎回、
今年も一年、山あり谷あり過ぎたけど、
こうして過ごせているのは、
きっと普通ではなく、特別なのかもしれない。
──なんて、振り返るんです。

当然そこは、お酒もセットで。

年末だし、連休だし。
えへへ。

スルスルスル〜っと、進むのだ、これが。

そして、基本飲むと陽気になる私は、
ご機嫌で就寝しました。

バタバタと、うるさい音で

そして、何やらバタバタとうるさい音がして、目が覚めました。

えーと、私の今年の初夢は…?

なんていう状況じゃ、ないらしい。

息子が、盛大に寝坊したらしい。

友達との約束に間に合わないショックと、
寝坊した自分への怒りと、
自分ではどうすることもできない口惜しさと。

全部ごちゃまぜにして──

「もう、間に合わないよ!!みんな行ってるし!」

と、いつものことながらご機嫌で就寝した母に、
剛球を投げてきました。

寝ぼけていたけど、予定していた電車の時間を聞いて、
今から車で送っても、送れて電車で行っても、
どうしようもないことは分かりました。

そして、試合放棄

そして息子が、相変わらず全部ごちゃまぜ状態で、

「もういい!!今更無理だ。」

と、試合放棄しました。

その瞬間。

「しっかりしなさいっ!!」
と、母は剛球を打ち返しました。

母の、打ち返した一球

遅れたのが何なの?
何が大切なの?
間に合う事じゃないでしょ?
今のあなたの心情は理解できるけど、違うんじゃない?

間に合わなかったあなたが欠けた状態でも
初日の出が見られたらいいって思う友達じゃないでしょう。

行きなさい、遅れたってなんだって行きなさい。
そして約束した友達と会うの。
そして全員揃って、
初日の出じゃなくたっていい。お日様だっていい。
見てくるの。
一緒にいたいから、みんなで約束したんでしょ。
「遅れてごめん!お日様一緒にみよう」って、
笑ってきなさい。

その直後、息子ははっとして。

「行ってくる!!」
と、自宅を飛び出しました。

うんうん、元旦から転ばないようにね〜。
母は再び、夢の世界へ行くわ。

そうして、結果は

結果どうだったかって。

なんと、なんと。

駅まで猛ダッシュで向かったら、
元旦の臨時電車が出ていた!

飛び乗った息子。
待ち合わせの海岸駅に到着と同時に、
日が出てきたらしい。

そして、最後はハッピーエンド。

「お前マジで間に合わないかと思ったぞ〜」

なんて、言われたらしい。

良かったじゃないか、息子よ。
運が味方してくれたね。

正月料理を、ほおばりながら

照れくさそうに、でも満足げな笑顔で、
結末を話しながら正月料理をほおばっていました。

今年もいい年明けだ!

その時の友達との一枚の写真は、
彼の携帯の中で、ひとつのアイコンになっています。

── 初日の出じゃなくたって、最高じゃない。

nakamurayamama

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