今夜も、来た来た
── 夜9時の、やんちゃなバイク
田舎の夜に、毎晩決まって響く音。
いつのまにか、その音を、
楽しみに待っていた。
やんちゃなバイクの、音色。
私の住む場所は、はっきり言って、田舎です。
交通量の多い道路もあるけれど、
一歩内側に入れば、それはそれは、
のどかな景色が、どこまでも広がる。
……はっきり言って、田舎です。
毎晩、響いてくる音
そんな田舎で、毎晩、響いてくる音があります。
はじめに書いた、そう──
やんちゃなバイクの、音。
引っ越してきたのは、そう遠くない。
バタバタと引っ越しをして、
新しい住まいでの生活が、やっと落ち着いてきたころ。
ふと、耳に入ってきたんです。
あの、やんちゃなバイクの音。
その昔は、結構走っていたような記憶があるけれど、
最近は、あまり聞こえなくなっていたかな。
「げんきだなぁ〜」
そう思いながら、聞いていました。
見えたのは、3台
そして時には、自宅から、走るバイクが見えて。
その時は、3台。
少し、かわいらしいと思った瞬間でした。
だってね。
方向は違うけど、やんちゃな息子がいる私にとっては、
なぜか同じに見えるのは、不思議じゃぁない。
あれ?と、気がついた
そんな日が日常だった、ある日。
あれ?と、気がついたんです。
その音、毎晩、毎晩、
決まって同じ時間に、奏でるんです。
夜の、9時ごろ。
それに気がついた日から──
日常に、ちょっとした楽しみができました。
そろそろ9時だわ、来るかな?
そろそろ9時だわ。来るかな?
ブンブン ブブブーーーン。
ブンブン ブーーーーーーン!!
お!来た。
次の日も。
ブブブーーーン、ブーンブンブン!
げんきだなぁ〜。
そしてそれが、日常になりました。
雨が降ると、来ない
毎日、9時ごろ。
雨が降るとね、来ない。
たまに、8時半すぎ。
「今日は早いな」
「今日は、遅いな」
そして、晴れているのに、
時間も過ぎたのに、こないなぁ。
30分近く遅れて──
ブンブンブン!ブブブン、ブブブーーーン!
お!来た来た。
ありがとね
いつしか、そんな風に思うようになって。
気がついたら、
やんちゃなバイクが楽しみになった、
自分がいました。
元気で、やんちゃなバイク達。
ありがとね。
そして今夜も、やんちゃなバイクは、
元気に走っていきました。
……ところで、ふと思う
それにしても、です。
顔も、名前も知らない、やんちゃなバイクの子たちを、
のんびり眺める私。
……あれ?
本物のやんちゃ息子は、何処へ??(笑)
君も、どこかで誰かを、
少しほっこりさせてるのかな?
よそのバイクの音を聞きつつ、
やんちゃ達に、エールを送るよ。
── ブブブーーーン。……お、今夜も来た来た。
nakamurayamama